「忙しい時期に限って肌の調子が悪い」「ストレスが溜まると肌荒れする」
こんな経験、ありませんか? これらは単なる気のせいではなく、科学的に裏付けられた事実であることが、ある興味深い研究で証明されています。
今回は、心理的ストレスが私たちの肌の「バリア機能」にどのような悪影響を与えるのか、医学生を対象に行われた実験の結果をご紹介します。

📝 どんな実験をしたの?
この研究の対象となったのは、皮膚疾患のない健康な医学生・歯学生・薬学生の計27名です。 研究チームは、学生たちの「メンタル」と「肌の回復力」の関係を、以下の3つの時期で比較調査しました。
- 冬休み明け(低ストレス期①): リラックスしている時期
- 学期末試験中(高ストレス期): 誰もがピリピリする試験週間!
- 春休み明け(低ストレス期②): 試験が終わり、再びリラックスした時期
実験の方法はちょっと過激? 皮膚のバリア機能を測るために、セロハンテープを使って皮膚の角層を少しだけ剥がし(ストリッピング)、そのダメージから肌がどれくらいの速さで回復するかを測定しました。具体的にはセロハンテープを貼って剥がす作業を繰り返します。 そして、機械で水分蒸発量を測定します。 水分蒸発量は「穴が開いたバケツ(肌)から漏れる水」を表しており、この測定により時間とともにどれだけ皮膚に開いた穴が塞がったかを数値化しました。
なお,ストレス値の評価は、心理学の分野で信頼性が確立されている自己記入式アンケートを使用していました。これらのアンケートは、3回の実験期間(冬休み明け、試験中、春休み明け)のすべてにおいて、皮膚バリア機能を測定する直前に実施されました。
😲 衝撃の結果:試験期間中の肌は「治らなかった」
実験の結果、メンタルと肌の間には驚くべき関係があることがわかりました。
1. 試験中はストレス激増
当然ですが、試験期間中は学生たちの心理的ストレス値が大幅に上昇していました。
2. 肌の回復スピードがダウン
ここが重要です。リラックスしている休暇中と比較して、試験期間中は皮膚バリアの回復速度が明らかに遅くなっていました。 特に、ダメージを受けてから3時間後、6時間後、24時間後のすべてのタイミングで、回復の遅れが見られました。
3. ストレスを感じる人ほど肌が治らない
さらに、心理的ストレスを強く感じていた学生ほど、肌の回復力の低下(悪化)が大きいという、強い相関関係が見られました。
4. 休みに入れば元通り!
幸いなことに、春休みに入ってストレスがなくなると、肌の回復力は正常レベルに戻りました。この変化は可逆的(元に戻るもの)だったのです。
🤔 なぜストレスで肌が弱くなるの?
では、なぜ「心」のストレスが「肌」に影響するのでしょうか? 論文では、以下のメカニズムが推測されています。
- ストレスホルモンの影響: ストレスを感じると体内でコルチゾールなどの「糖質コルチコイド」が増加し、これが肌の修復を邪魔している可能性があります。
- 見た目は普通でも中身はボロボロ: 実は、何もしていない状態(安静時)の肌の水分蒸散量は、試験期間中(ストレス期間)でも変化がありませんでした。つまり、ダメージを受けて壁に穴が空いて中から水分が出ていってしまっている状況が,ストレスによって続いてしまっていたことを示唆しており,「見た目は普通でも、いざダメージを受けると全然治らない肌」になっていたということです。これが、ストレス時に肌荒れが長引く原因かもしれません。
💡 私たちが今日からできること
この研究は、アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚トラブルが、ストレスによって引き起こされたり悪化したりする科学的な根拠となります。
スキンケアももちろん大切ですが、この結果を見ると以下のことも同じくらい重要だと言えます。
- ストレスケアも「スキンケア」の一部と考える: リラクゼーションや十分な睡眠は、肌のバリア機能を守るために必要です。
- 忙しい時ほど肌をいたわる: ストレスがかかっている時期は、肌の「自己修復力」が落ちています。新しい化粧品を試したり、摩擦などの刺激を与えたりするのは避け、守りのケアを徹底しましょう。
「肌は心の鏡」という言葉は、医学的にも正しかったようですね。忙しい時こそ、心と肌の両方を優しく労ってあげましょう!
紹介研究:Psychological Stress Perturbs Epidermal Permeability Barrier Homeostasis. A Garg著


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