「毎日なんとなくコーラやサイダーを飲んでいる」「砂糖入りは避けてダイエット飲料を選んでいるから安心」そう思っている方に、少しドキッとする研究結果をご紹介します。
ヨーロッパ10カ国、約45万人を対象に行われた大規模な調査で、「清涼飲料水(砂糖入りもしくは人工甘味料入り)をよく飲む人は、砂糖入りか人工甘味料入りかに関わらず、死亡リスクが高くなる」という結果が明らかになりました。
「そもそもそのような飲み物を飲んでいる人は不健康だからじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、残念ながらこの結果は、喫煙や肥満などの影響を統計的に取り除いた「純粋なリスク」評価に基づくものです。。。

1. 毎日2杯以上飲むとどうなる?(全死亡リスク)
この研究では、喫煙、BMI(肥満度)、運動習慣、食事内容といった様々な要因を考慮して調整した上で、リスクを算出しています。その結果、1日2杯(グラス)以上清涼飲料水を飲むグループは、月に1杯未満しか飲まないグループに比べて、死亡リスクが有意に上昇していました。
驚くべきは、「人工甘味料入り」の方がリスクが高く出ている点です。
- 🥤 トータル(種類問わず): 死亡リスクが 17% 上昇
- 📉 人工甘味料入り: 死亡リスクが 26% 上昇
- 🍬 砂糖入り: 死亡リスクが 8% 上昇
「カロリーゼロだから健康に良い」とは言い切れないデータが出ています。
2. 種類によって「危ない場所」が違う?
さらに興味深いのは、飲んでいるタイプによって関連する病気が異なるという点です。
💔 人工甘味料入り × 循環器疾患
人工甘味料入りの飲料を1日2杯以上飲む人は、心臓病や脳卒中などの循環器疾患で死亡するリスクが52%も高くなりました。特に、心臓への血液供給が滞る「虚血性心疾患」との関連が強く見られています。一方で、砂糖入りではこの関連は見られませんでした。
🤢 砂糖入り × 消化器疾患
逆に、砂糖入りの飲料を1日1杯以上飲む人は、消化器疾患で死亡するリスクが59%高いという結果が出ました。こちらは人工甘味料入りでは関連が見られませんでした。
🦀 がん(Cancer)× 大腸がん
「甘いものはがんのエサ?」と心配される方も多いですが、この研究では全体的ながん死亡リスクとの関連は見られませんでした。乳がんや前立腺がんも同様に関連なしです。
ただし、「大腸がん」だけは例外でした。種類を問わず清涼飲料水を1日1杯以上飲むグループでは、大腸がんによる死亡リスクが25%高くなっていました。
🧠 その他
種類を問わず、清涼飲料水を1日1杯以上飲むことは、パーキンソン病のリスク上昇(59%上昇)とも関連していました。なお、アルツハイマー病との明確な関連は見られませんでした。
3. 「痩せているから関係ない」は通じない
「自分は太っていないから大丈夫」と思うかもしれませんが、そうとも限りません。 この研究では、「標準体重(BMI 25未満)の人」や「タバコを吸わない人」だけに限定して分析しても、やはり清涼飲料水を多く飲む人の死亡リスクは高いままでした。
- 標準体重の人でも、清涼飲料水を1日1杯以上飲むと死亡リスクは 18% 上昇しています。
つまり、肥満や喫煙といった他の悪条件のせいではなく、清涼飲料水そのものがリスクになっている可能性があるのです。
⚠️ この研究の「限界」と注意点
非常に大規模で重要なデータですが、以下の点には注意が必要です。
- 「原因」までは証明できない: あくまで「飲んでいる人に死亡例が多かった」という関連性を見たものであり、「清涼飲料水が直接の死因である」と証明されたわけではありません。
- 隠れた要因があるかも?: 喫煙や体重などで調整はしていますが、例えば「清涼飲料水をたくさん飲む人は、他にも不健康な生活習慣を持っていたかもしれない」という、数字に表れない要因が影響している可能性は完全には否定できません。
- 調査は「最初の一回」だけ:参加者が何を飲んでいるかを聞いたのは研究開始時だけです。その後の16年間で食生活が変わったとしても、それは反映されていません。
まとめ
この研究は「砂糖入りも人工甘味料入りも、飲み過ぎは死亡リスク上昇に関連している」ことを示唆しています。しかもなかなかのリスク上昇具合が示されていますよね。。どんなに他の健康法を行なったとしても全てキャンセルアウトされてしまいそうです。。 やはり「清涼飲料水の摂取は控えめにする」のが賢明と言えそうです。
喉が渇いたら、甘い炭酸水ではなく、お水やお茶を選ぶ習慣をつけるのが、長生きの秘訣かもしれませんね。
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紹介研究:Association Between Soft Drink Consumption and Mortality in 10 European Countries. A Mulee著

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