擬似絶食ダイエットで若返った!

ダイエット

近年、アンチエイジングや長寿科学の分野で注目を集めている「擬似絶食ダイエット(FMD:Fasting-Mimicking Diet)」。植物ベースの低カロリー・低タンパク質食を月に5日間だけ実践し、残りの日は通常の食事を摂るというメソッドです。 今回は、このFMDが私たちの「生物学的年齢(体内の生理学的な老化の程度)」や疾患リスクにどのような影響を与えるのかを検証した最新の論文を解説します。なお,この研究論文は非常に高いサイエンスレベルが求められるNature communicationsに掲載されている論文です

ダイエットが示したアンチエイジング効果が気になる方はこちらの記事もCheckしてみてください✨

断食の脳に対する効果が気になる方はこちらも⭐️

ダイエット関連全般が気になる方は一連の記事をこちらにまとめてあります!

FMD(擬似絶食ダイエット)の具体的な中身とは?

「絶食を模倣する」と言っても、水しか飲まないような過酷な断食ではありません。FMDは、細胞レベルで絶食時と同じような効果(IGF-1や血糖値の低下、ケトン体の増加など)を引き起こしつつも、必要なマクロ栄養素とミクロ栄養素を摂取し、体への負担や副作用を最小限に抑えるよう設計された植物ベースの食事プログラムです。

2つのランダム化比較試験(RCT)のデザイン

この研究では、エビデンスレベルの高い2つのランダム化比較試験(RCT)のデータが分析されています。

  • 第1の試験: 一般的に健康な成人ボランティア(18〜70歳)100名を対象とし、通常食群とFMD群にランダムに割り当てた後、通常食群もFMDを開始するクロスオーバー試験です。
  • 第2の試験: BMI28以上で、血管内皮機能障害などの心血管代謝リスクを持つ参加者を対象とした並行群間RCTです。

臨床試験で用いられた具体的なFMDにおける栄養素構成は以下の通りです。

  • 1日目: 約1100 kcalを摂取。PFCバランスはタンパク質11%、脂質46%、炭水化物43%です。
  • 2〜5日目: 約720 kcalに減らします。PFCバランスはタンパク質9%、脂質44%、炭水化物47%です。
  • 食事のメニュー: 野菜ベースのスープ、エナジーバー、エナジードリンク、スナック(チップス)、お茶に加えて、ミネラルやビタミン、必須脂肪酸を豊富に含むサプリメントで構成されています。
  • 実践の工夫: 参加者が間違えて翌日の分まで食べてしまわないよう、1日分ごとに小分けの箱(Prolon)にパッケージされており、その日の箱の中身であれば自分の好きなタイミングで食べられるように工夫されています。

第1の試験の結果:2.5年の若返りと臓器・免疫の改善

第1の試験で3サイクルのFMDを完了した参加者のうち、データが揃っている52名を解析した結果、非常に興味深い変化が確認されました。

  • 生物学的年齢の低下: 7つの血液・臨床マーカーから算出される生物学的年齢の中央値が、約2.5年減少(若返り)しました。特にもともと健康リスクを持っていた層ではさらに大きな減少(43.3歳から40.4歳へ)が見られました。
  • 肝脂肪と代謝の改善: MRI測定を受けたサブグループにおいて、BMIや内臓脂肪だけでなく、肝脂肪率(HFF)も有意に減少しました。特に脂肪肝(肝脂肪率5%超)の参加者5名では、肝脂肪が14.32±5.8%から7.94±4.22%へと約半分に減少しています。また、糖尿病予備軍ではインスリン抵抗性(HOMA-IR)の改善も確認されました。
  • 免疫システムの若返り: 加齢とともに低下するリンパ球対骨髄球比(L/M比)が有意に上昇し、免疫プロファイルがより若い状態へシフトしました。

第2の試験の結果:リスク層での再現と強力な裏付け

第1の試験の結果が「たまたま」ではないことを検証するため、第2の試験のFMD群(34名)のデータ解析も行われました。 その結果、こちらでも生物学的年齢の中央値が2.7年減少するという、第1の試験と同等の強力な若返り効果が確認されました。

よくある疑問:これって「単に痩せたから」では?

データを見る際、「カロリー制限で体重が落ちたからマーカーが良くなっただけではないか?」と疑うのは非常に重要です。研究者らもこの交絡因子を懸念し、徹底的な検証を行っています。

驚くべきことに、体重の減少幅と生物学的年齢の減少幅の間に有意な相関関係はありませんでした(p=0.29)。さらに、体重減少の影響を統計的に除外(調整)して再解析を行っても、両方の試験で有意な生物学的年齢の低下が確認されています。 つまり、擬似絶食(FMD)による若返りは「単なる減量効果」では説明がつかないのです。

なぜ擬似絶食(FMD)は生物学的年齢を下げるのか?

では、何が若返りをもたらしているのでしょうか?論文の考察では、単一の要因ではなく、以下のようなシステムレベルの改善が示唆されています。

  • 全身の炎症の抑制 CRP(炎症マーカー)やアルブミンの変化が若返りと強く相関しており、全身の炎症レベルの低下が大きく寄与しています。
  • 古い細胞のクリアランスと組織の再生 過去のマウス研究から、絶食状態を模倣することで、古く損傷した細胞が標的となって減少し、その後の食事再開時に幹細胞が活性化して組織が再生する「リプログラミング」が起こっていると考えられます。

まとめ

FMDは、慢性的な厳しいカロリー制限のような負担を強いることなく、安全に細胞の再生や代謝の改善を引き出す可能性を秘めたアプローチです。ただし、これらの若返り効果(バイオマーカーの改善)は、シミュレーション上では疾患リスクを大きく下げると推計されていますが、FMDをやめて元の生活に戻れば数ヶ月で徐々に薄れていく可能性も指摘されています。

一時的なイベントとして終わらせるのではなく、長期的な健康長寿のためには、定期的な実践などライフスタイル全体への戦略的な組み込みが鍵となりそうです!

紹介研究:Fasting-mimicking diet causes hepatic and blood markers changes indicating reduced biological age and disease risk. S Brandhorst著

コメント

タイトルとURLをコピーしました